こんにちは。とあるマイナー外科医です。
投資における一つの公式は「入金力 x 適切なレバレッジ x 時間 = 利益」であると考えています。
どこかに投資をしている間、あなたが預けたそのお金が時間をかけて労働しているという感覚です。
しかしながら、悲しいことに人間の性として預けたお金がリスクにさらされている時間はできるだけ短くしたいですし、含み益が出ていれば尚更のことであります。
少し利益が出た、あるいは価格が動かないので手仕舞いしたら思っていた方向へ大きく動いた経験は一度はあるかと思います。
本日はテクニカル分析的な視点で「握力」を鍛える方法を考えていきたいと思います。
悲しいかな、人間の性
相場においては人間の性に忠実であるほど負けます。とても酷く負けます。
相場ではなぜか、最終的にはいつも大衆が負けるようになっているのです。
行動経済学的にはいくつかこの人間の性について理論があります。
その一つが「プロスペクト理論」になります。
こちらはいろいろなところで説明されていますので詳しくは書きませんが、ご興味あれば調べてみてください。
要するに、人は期待値を歪んで認知してしまう傾向(バイアス)があり非合理的な行動をとってしまうというものです。
その内容はいずれも損大利小のチキン利確に繋がるものです。
ニワトリにならないために
人間の本能によってニワトリにならないためにいくつかアプローチを考えてみました。
まず、バイアスを無くすことは人間的に何か大切なものを失わなければ難しいと思います。
なので人の性というものを理解し、学習や習慣により握力をコントロールする方向で考えていきます。
プロスペクト理論では価格関数と確率加重関数が理論の基軸になっているようです。
要するに、人は正常に現在の価格と将来の確率を客観的に評価できないのですね。
そしてそれらを評価するための基準点も参照点依存性によりさらに主観的なものになってしまいます。
これらはいずれも含み益に対する握力を低下させ、含み損の握力を増加させる方向に影響します。
人の性を理解する
チャートは横軸(時間)と縦軸(価格)によってのみ記されるため(今回は出来高は除きます)、問題点を分解し分類してみます。
認知の歪みの問題点を分解すると以下の3つに分けられそうです。
①参照点依存性による歪み:価格を見る基準(= エントリーの時間軸・価格水準に対する解釈)が変わる
②価格関数による歪み:現在の価格の解釈が含み損時と含み益時で変わる
③確率加重関数による歪み:将来的な時間経過による期待値を歪んで解釈する
いずれも損大利小に繋がるものです。
そして、これらの歪みは本人の掛け金に対する執着が大きければ大きいほど強くなる傾向にあると思われます。
それではこれらの対策を考えていきましょう。
対策①:環境を変える
まずはそもそもバイアスが発生しにくい環境下でトレードを行うことです。
よくある話ですが、使ってはならない金でトレードすると大概負けると言われます。
本人にとってそのお金が大切であればあるほど相場を客観的に見れなくなるのでしょうね。
まずはリスク管理を行い、大脳辺縁系(=本能に近いほう)が働きにくい程度の資金でするとバイアスの影響を少なくできそうです。
例えば、相場を勉強するために一日で支払ってもいいと思える額を考えてみてそれを損失の最大額にしてみるなどの工夫をしてみてもいいかもしれません。
とにかく、儲けたいとか損したくないといった感情をできるだけ抱かないマインドセットでトレードに臨みたいところです。
対策②:メタ認知を行う
メタ認知は自分の認知過程を認知するという俯瞰的な認知作業です。
この認知能力が高いとバイアスを減らすことができるといいます。
メタ認知を行うためには普段無意識で行っている行動の意識化が必要となります。
無意識を意識化するには言語化が必須作業になります。
チャート上の値動きやエントリー、利確など自分の行っているトレード対して細かいところまで逐一言語化することです。
何かいつもと違うと感じたら、観察して違いを言語あるは図にしてストックしていきます。
曖昧評価の一番の問題点は「何がダメでその結果になっているのか評価ができない」ことです。
失敗しても次の結果を改善するデータが得られなければ、そのお金をかけて買った失敗はドブへ捨てることになります。
もったいないと思いませんか?
対策③:複数の評価基準を持つ(価格)
チャート上での価格の捉え方に対して複数の評価基準を持っておくことは価格に対するバイアスを排除することに対し有効かもしれません。
比率やオシレーターなどを用いることで、ある期間の相対的な価格の位置を定量化することが可能です。
「オシレーターや移動平均は価格を加工しただけのものだから必要ない、ローソク足で十分。」という人がいます。
私もどちらかといえばそちらのタイプなのですが、データのビジュアライゼーションは物事を客観的に判断する際に非常に有用なツールになります。
自分が注目しているデータが見えやすくなるような価格の加工はどんどんすべきだと思います。
そういう意味で自分で挙動をよく理解しているオシレーターや移動平均などのインジケーターはひとつくらいは持っておいてもいいのではないかと思っています。
また、レンジバーチャート、ポイント&フィギュアなどの価格推移そのものに重きを置いたチャートを使ってみるのもひとつの手かもしれません。
対策③’:複数の評価基準を持つ(時間)
時間に対する評価基準を設定することは難しいですね。
時間は握力に最も関わる因子になるのでチャート上での時間の捉えかたを意識することは重要です。
1時間足でエントリーしたら平均して何時間くらいで利確目標に到達するのか、ローソク足だと何本くらいになるのか...
そしてポジションを持っているときの実生活上の時間感覚とのすり合わせも大切な作業です。
平均してどれくらいで値幅が出るのか知っていることと、実際にそこまでポジションを持てることの間にはギャップがあるからです。
時間に対する評価基準を持つことができれば単純に握力が向上しますがテクニカル分析では少しマニアックな分野になります。
時間に関しては一目均衡表の時間論やサイクル理論などを勉強してみてもよいかもしれません。
一つのヒントは相場には自己相似性があり、同じ構造が繰り返し出現するというところにあります。
時間に対してもフラクタル構造は当てはまるかもしれませんね。
バイアスを取り除くという観点で見れば短期と長期トレードを同時に行うことも効果があるかもしれません。
私はデイトレと中長期のトレードを並行して行うようにしています。
チャートの見え方が全く変わります。
お試しあれ。
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まとめ
トレード時の握力について、主にバイアスへの対策を考えてみました。
すでに出来上がってしまっている認知行動様式を変えるには、自分の認知過程を理解・学習し新たな行動様式を習慣化しなければなりません。
エッジは持っているけど利益が出ないという方は行動パターンを変えるような仕組みづくりを考えたほうがよい結果になるかもしれませんね。
今回の記事には当たり前のことが多く書かれていますが、当たり前のことをやり続けることはとても大変です。
生まれながらにトレーダーに向いている人は少数派だと思います。
そちら側でないのであれば、地道な努力を積み重ねていくしかありません。
「脳とトレード 「儲かる脳」の作り方と鍛え方」ではニューロファイナンス的な視点からバイアスのことや投資判断力をステップアップするための内容が書かれています。自己管理について悩んでいる方は読んでみてくださいね。
このブログでは主にテクニカル分析について発信していますが、ファンダメンタル分析ができるとエントリー精度が上がると思います。
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